あの時間を忘れる方法が あるなら

両親の許しを得たい相手のことをよく知らないなんて‥‥そんな話があるだろうか?

てっきり莉奈さんと付き合っている関係だと思っていたし、あんなに親身になって顔を覗かせたり優しい眼差しを向けていたのに?

『前にも話したが、俺が12歳の頃に命を救ってくれた恩人なんだよ。その時‥‥俺は彼女に酷い怪我を負わせてしまったんだ。』

「その事は‥お母様達は知ってるんですか?」

『いや‥‥別荘にはいつも世話係りはいたけど1人で行っていて、あの誘拐事件が起きた時、その女の子は幼いのに俺を助けて怪我をしたんだ‥。その事件のことですぐに家に連れ戻されてしまってね‥。それから大人になったあともどうしてもあの子のことが忘れられず探しに行ったが見つからなかった。治療をした病院がないか問い合わせても名前も年齢も分からず、個人情報だからと教えてもらえなかった。後悔したよ‥名前を聞いておけば良かったと‥それにあの時隠れずにきちんと謝るべきだったと‥』

‥‥えっ?

どうしてか、その話を聞くと胸がギュッと締め付けられて苦しくなった

『その後も時間を見ては捜索していたけど、なかなか見つからなくて諦めかけていた時に、施設にいた莉奈のこめかみに傷を見つけて尋ねたら彼女が当時の事件のことと俺のことを覚えていたんだ‥』

ドクン

話を聞けば聞くほど、自分の中でもつれて絡まっていた糸が解けることに心臓が煩く音を立てている

だって‥‥

私のこめかみにも同じように一生消えない傷があったから