あの時間を忘れる方法が あるなら

奇跡なんて‥それは莉奈さんに出会えた事だと分かってるのに、自分の事を言われたかの様に嬉しかったんだと思う

「柊さん‥ッ‥ありがとうございます」

『何か美味しいものでも沢山食べよう。俺が注文しておくから、君はゆっくりお風呂に入っておいで。』

「はい‥じゃあ柊さんのお風呂を」

泣き腫らした顔を見られたくなくてその場から逃げようとすると、片手で腰を引き寄せられ目尻に柊さんが唇を落としたので、私はそのまま柊さんに背を向けて部屋に駆け込んだ

明日から多分とても大変な日々が始まると思うし、今日だってすごく大変な目にもあった

それなのに、あんなキス一つで他の事が考えられなくなるほど柊さんで頭の中がいっぱいになってしまう

慰めだとしても、タチの悪い行動にいちいち反応しててはいけないのに、彼が相手だと上手く交わすことさえ難しい‥‥




「おやすみなさい、柊さん」

食事を済ませてから少しだけリビングでくつろいだ後部屋に戻ろうと立ち上がると、柊さんが私の手首を掴んだ

「‥‥どうされましたか?」

『今日はこっちにおいで』

えっ!?

こっち‥って‥‥えっ!?嘘!!?

「ッ!柊さん?」

自分の寝室に向かって歩く柊さんの背中を見つめながらも何が起こっているか分からないまま部屋に入れられてしまった