あの時間を忘れる方法が あるなら

私を見下ろし優しい笑顔を向ける表情に、1人で頑張らなくてもいいと言われているようで目頭が熱くなると、柊さんが私の手を握った


柊さんのお母様が私と柊さんを交互に見ると、
溜め息を吐きながらも頷いてくれると、少しだけ柊さんを見て微笑んだ気がした

『彼女の部屋を準備させるから明日から2人でいらっしゃい。』

手話を訳して貰うと、柊さんと見つめ合いお母様に頭を下げた

最初は恐ろしくてもっと怖い方だと思ってしまったけれど、街で会った時のように本当はとても優しい人なのかもしれないと思ってしまった




『本当に何もされていないだろうな?』

「はい、大丈夫です。攫われた時は気を失ってしまったので正直怖かったですが‥‥」

『すまない‥‥また君に嫌な思いをさせた』

車の後部座席で柊さんの綺麗な顔が街のネオンに照らされると、私は切れ長の瞳を見つめて何度も首を横に振る

「私はこのお話を受けた時こそ迷いや不安がありましたが、柊さんの為に自分が何か出来るならそれが一番だと思っています。だから嫌な思いをしたとしても、私は平気ですよ。お金がなかった時なんてもっと大変で明日食べるご飯があるといいな‥なんて生きてましたから、両親や弟が普通の生活が出来ているだけで頑張れるんです」

2人でマンションに戻ると、玄関の扉を開けて入った瞬間に後ろから柊さんに抱き締められた