あの時間を忘れる方法が あるなら

『あの時はあなたにそんな感情は持たなかった。ただ‥あなたが息子と関係がある以上はそういう目で見てしまうそうです』

‥‥えっ?

「息子って‥‥誰の‥ことですか?」

『こちらのお方は川崎グループ会長の奥様で川崎 絢子様です。ご存知ありませんでしたか?』

ッ‥嘘っ!!

隣の女性の言葉に目を見開き、すぐに女性に視線をうつすと、来た時と変わらない冷たい表情で私をジッと見つめていた

この人が‥‥柊さんのお母様‥?

どうしよう‥‥
こんな風に接触する日がいつかは来るかもとは思ってはいたけれど、準備がまだ整ってない状況で万が一偽物だとバレたら‥‥


動揺しているところなど見せてはいけないとは思いつつも、柊さんの莉奈さんを見つめる愛しい顔が脳裏に浮かび、この場をどうにかしてやり切らないとと心が叫ぶ

「改めてご挨拶させてください。ご存知かと思いますが、長浜 莉奈と申します。柊さんのお母様とは知らずあの場で馴れ馴れしく接したことを謝ります。しかし‥私はあの時あの場で倒れたのが別の人でも同じことをします。」

私の話す内容を隣の女性が手話で伝えてくれている間も、気を緩めたら倒れてしまいそうで
背中に汗が伝ってゆく

でも‥‥
柊さんのために私ができることはたった一つ。

2人が幸せに結ばれる為に今はこの人と向き合わないといけないのだ

『‥あなた‥‥以前と印象がかなり違う気がするのは気のせいかしら?』

ドクン