あの時間を忘れる方法が あるなら

「‥‥ツラかったですね。」

『ああ‥長かった‥‥』

自分よりも大きな体を支えるのは大変だったけれど、本当に心身共に疲れているだろう柊さんの背中を抱き締め何度も優しくさすると、目を開けた瞬間目の前にお父様がいて驚いた

「ッ!!し、柊さん!!お、お父様が」

今更だが、よく考えたらまわりにはお父様お母様をはじめシズさんや富田さん、氷室さんもいて視線が一斉に向けられていることに一気に恥ずかしさが込み上がる

『いい‥放っておけ』

放っておけって‥‥こんな状況で抱き合っている所を見られて普通でいられないッ!

『結愛さん‥だったね。』

ドクン

柊さんよりも更に低くて落ち着いた声に柊さんを抱き締めながらも頷くと、お父様はお母様のそばに行き小さく頷いた

『息子が誰かをこんなに愛する姿を見せて貰えてそれだけでも帰って来た甲斐があった。時間が経ってしまったが改めてお礼を言わせて欲しい。‥柊を助けてくれて本当にありがとう。』

「ッ!!そんな‥頭を上げてください‥。私が助けたのは偶然に過ぎません」

『それでも、あなたの真心が伝わったから柊の心も動いたのよ。私からも伝えさせて‥あなたで良かった‥私が認めた人ですからね。』

2人の言葉に張り詰めていた緊張が解けたかのように涙が溢れると、ようやく柊さんが体を起こし私を腕の中に閉じ込めた

『警察の事は任せなさい。大沙汰にはさせないよ。君達の未来を守るくらいは出来るからね』

『父さん‥‥ありがとうございます』