あの時間を忘れる方法が あるなら

柊さんの話では莉奈さんはあの事件の後に長浜家の老夫婦に引き取られたとだけ聞いていた

でも‥それも嘘だったというの?

『あんたの父親は1年前に川崎柊が女の子を探しに何度かここに来ていた事を知っていた。だからこそ誘拐は失敗に終わったが、命の恩人にすれば金が入ると思いあんたに提案したんだ。そうすればひもじい暮らしもせず贅沢も出来る。おまけに相手は社長で容姿も優れてるときたら、断る理由なんてなかったんだろうな。ワザと縫うほどの傷を負ってまで、次ここに探しにくる日を待ってたんだから』

『辞めてよ!!なんなの!?この茶番みたいな話は!!いい加減にしてよね!?証拠なんてないでしょう?』

莉奈さんの声に室内が静まり返ると、止まっていたスクリーンの画面から音声が聞こえ始めみんなそちらに視線を向けた

『(母さん‥このままずっとそのままでいてくれよ?あんたには息子なんていないんだからな。もう少しで莉奈が大金を手にするからさ‥‥ククッ‥嫁にもらった相手の本当の親がまさか自分を誘拐したヤツなんて思っても見ないだろうな。川崎の坊ちゃんも大した事ないって事だ。)』

施設で見かけたあの男性がおばあさんの部屋で話している会話に誰もが驚き声も出ない中、私の手を握る柊さんの手は力が込められたのが伝わる

怒りが込み上がるのも無理はない‥‥

全てあの男性と莉奈さんによって仕組まれた計画だったのだから‥‥