あの時間を忘れる方法が あるなら

『嘘よ!!私には父親なんて居ない!!私を施設から引き取ったのは長浜の老夫婦よ!?祖母はまだ施設に居るじゃない‥そうよね?柊さんだって何度も会ってるじゃない!』

『君を育てた人だと思ったから施設代も全て支払って来た。だが、犯人の親‥‥つまり君の本当の祖母でもあるだろう?』


えっ!?

暗闇の中で、莉奈さんがよろめき椅子に座ると
画面に映し出された父親と祖父母の画像に少しずつ震え始めた

『長浜 莉奈の父親でもある義之は隙を見て逃げられた川崎 柊を追いかける時に女の子と一緒に逃げる姿だけは目撃していたんだ。失敗に終わった誘拐事件だったが、転機が訪れた。』
 
『俺が大人になり、忘れられなかった女の子をあの街に探しに行った事だ。』

柊さんが莉奈さんに向けて低い声を出すと、隣にいる私でさえその恐怖に震えそうになる

『莉奈。君の父親はいち早くその事を何かで知り、当時7歳だった女の子が怪我をした事や、この辺りのおばあさんの家に住んでいた事などを多分知ったのだろう。それで思い付いたんだ‥
自分の娘も年が同じだから助けたことにすればいい‥とな』

‥‥えっ!!?

『う、嘘よ!!助けたのは本当に私』

『それじゃあ聞くが、あんたが施設から長浜家に引き取られたのはいつだ?』

辰哉君が莉奈さんの声を遮るように話すと、莉奈さんが立ち上がって机を両手で叩いた

『子供の頃よッ‥そんなの決まってるでしょ!?』

『へぇ‥‥どんな手を使って書類を偽造したか知らないが、あんたが実の父親に引き取られてからはまだ一年経ってないはずだけど?』