あの時間を忘れる方法が あるなら

柊さんが当時の事件の内容を詳しく話す間もお父様は黙って耳を傾け、お母様は通訳の氷室さんの手話を静かに見ていた

『この子が長浜さんの代わりに3ヶ月身代わりとして生きてたということか?』

『はい‥今思えば彼女を傷付ける結果になってしまいましたが、人の為に一生懸命動ける彼女を見て、いつのまにか彼女が当時の女の子と重なり惹かれるようになったんです。でも惹かれるのは当然だったんです‥だって俺を救ったのは莉奈ではなく佐々木 結愛さんだったから』

私の手をもう一度握り締め優しく微笑む柊さんに涙が溢れそうになりつつも堪えて私も笑顔を向けた

私も‥‥こんなにも惹かれたのは柊さんが当時の男の子でずっと心に残っていた人だったからかもしれない

『柊さん‥何を言ってるの!?犯人から助けたのは私なのよ!?ほら‥!この傷だってその時に付いたものでしょ!?』

『そうだな‥少し前まではそう信じてた‥。
君を引き取った人物に騙されていたがな。』

『ッ!!』


『そこからは俺が話すよ。八雲さん手伝ってくれる?』

『はい、かしこまりました』

黙って壁にもたれて話を聞いていた辰哉君が私の横に立つと、柊さんと顔を見合わせて軽く頷いた後、八雲さんはパソコンやスクリーンを用意し部屋のカーテンを閉めるとそこに何かを映し始めた

『施設育ちの長浜 莉奈には親が居たんだ。離婚をして母親が子供を施設に預けた後、お金のやりくりに苦しくなった父親が企てた犯行が川崎グループの息子のあの誘拐時間だ』

嘘ッ!!‥‥莉奈さんの父親が‥犯人‥?