あの時間を忘れる方法が あるなら

目を見開き、ただただ目の前の美しい柊さんを見つつも今の自分の姿に我にかえると、ここにいる誰もが驚き室内が静まり返る

柊さん‥‥一体どういうつもりなの‥?

緊張と不安から体が震え始めると、柊さんが私の伊達メガネを外し被っていたウィッグを取ってしまった

『柊さん!!どうしてここに佐々木さんがいるのよ!!』

莉奈さんが立ち上がり大きな声で怒鳴る態度に私の体がビクっと震えると柊さんは莉奈さんの声になど耳も貸さずに私を腕の中に閉じ込めた

『大丈夫‥‥ちゃんと君を守るから‥』

大好きなシダーウッドの香りに包まれると、安心からか私も柊さんの胸に身を預けると更に強く抱き締められた

『柊、どういう事か説明しろ』

お父様の声に柊さんは私と手をしっかり繋ぐと、振り返りみんなの方を向いた

その姿は誇らしく誰よりも強く素敵なほどに凛々しい‥‥

信じよう‥‥これから何が始まるか分からないけれど、温かいこの手を私ももう離したくはないから‥

『父さん、母さん、俺が12歳の頃誘拐されたあの事件を覚えてるよね?あの当時俺を犯人から逃がしてくれた女の子を俺はずっと莉奈だと思っていた。なにせ彼女は当時の時間のことを詳しく覚えていたから信じざるを得なかった。』

まさかこの話をするとは思っていなかった莉奈さんが、珍しく動揺を見せ目がキョロキョロとし何処か落ち着かない様子を見せている