あの時間を忘れる方法が あるなら

華やかな装いをしていた莉奈さんの身代わりだった時とは違い、着替える間もなく連れ出された今の私はカットソーにパンツ姿。

それにスッピンに被らされたウィッグや伊達メガネで普段の私ともかけ離れた姿に冨田さんは全く気が付かなかった。

『こちらのお料理は冷やして固めるので器に装って貰えますか?』

「はい、かしこまりました」

身分なんて関係なく優しく接してくださる冨田さんに思わず懐かしさから笑みが溢れる

こんな形だけど会えたことが嬉しいな‥‥

全てのお料理の準備が終わると、辰哉君が見た事もない装いでキッチンに現れて驚いた

『お酒を振る舞う者としてはこれくらいはしないとな。これはぜんぶ川崎が用意した物だ。
‥‥さてと、お待ちかねの相手がいる場所へ行くとしますか』

柊さんの事も辰哉君の事も勿論信じてるし、意味があってここに連れて来られたのは分かってる

でも‥何故だかこれから起こる事への不安や怖さも感じられ、思わず唾をゴクリと飲み頷いた