あの時間を忘れる方法が あるなら

『今日はお疲れ様。君のおかげで滞りなくスムーズに話が進んで助かった。』

「いえ‥これからも精進して参ります」

『フッ‥‥仕事モードはここまでで、1つ頼み事をしてもいいか?』

電話越しの低くて耳に響く声に1人で顔を赤らめてしまう姿を見られてなくて良かった‥‥
きっと揶揄われてしまいそうだから‥‥

『来週末、あの街に行こうと思うが君に一緒に行って欲しい』

「はい、大丈夫ですよ。あの‥それって莉奈さんの事でですか?」

『ああ‥。莉奈が育った施設や長浜のおばあさんにも会いに行くつもりだ。あとは‥攫われた時に居たあの山小屋にもな』

柊さん‥‥

思い出したくない程の恐怖を子供ながらに経験した場所なんて本当なら行きたくないに決まってる‥‥そう思うだけで胸が苦しくなった

「柊さんがそう決めたならそばに居ます‥。
1人じゃないので頼ってください」

沢山心配や迷惑をかけてしまった人だから、私にできることがあるならやるつもりだ

電話を終えてから眠るまでに色々考えた

ここ最近、柊さんが優しいから莉奈さんの機嫌はいつもよりは遥かに良くて、あたられる事もあるけれど仕事にかなり集中できているのだ

街に行くのはいいけれど、変な胸騒ぎがしてたまらないままだったが、日々の仕事が忙しくてあっという間に週末を迎えてしまった