あの時間を忘れる方法が あるなら

パウダールームから会場に戻ると、柊さんの隣に莉奈さんが居て、取引先の相手の方々とも楽しくお話されているようだったので、隅の方で飲み物を頂いてソファに座って2人を眺めていた

2人の幸せを願い、お母様に認めてもらう為に身代わりとして生きていたのがもう随分と前の事に思える

それくらいこの半年近くの時間の濃さが今までと比べ物にならないことを物語っているんだと思う

あんな完璧な素敵な人と関わる人生になり、その人が昔助けたあの男の子だったなんて、それだけでも奇跡のような話で少し怖いくらいだ

柊さんは莉奈さんの事を心配いらないとは言ってくださるけど本当のところ今後どうしていくのだろう‥‥

ジッと見つめていたせいか、柊さんが私に気付くと真っ直ぐこちらに向かって歩いてきた

『足が痛むのだろう?挨拶回りは終わってるからそろそろ帰ろう。』

足が痛かったのバレていたんだ‥‥
高いヒールにも慣れていかないと今後毎回同じ失敗をしてしまいそうだ

『八雲に送ってもらう。家に着いたら電話するよ。』

「はい、ありがとうございます」

『フッ‥‥このまま連れて帰れないなんてある意味拷問に近いな』

ドクン

熱い視線を最後に向けて意地悪く笑って見せるとまた莉奈さんが待つ方へ戻って行ってしまった


八雲さんにマンションまで送ってもらうとシャワーを浴びてから眠る準備をしていると、柊さんから電話がかかってきた