あの時間を忘れる方法が あるなら

「社長‥‥私‥何かおかしい気がします。ここに来てからみんなが見てるんです。」

着慣れないドレスがやはり身の丈に合っておらず笑われているようで怖い‥‥

一度パーティーに来た時とは規模も違い、柊さんが言ったように大きな取引を掴めるほどホテル界、不動産業界、政治家などが顔を連ねる場だ

柊さんの側でマイナスになることだけは避けないといけないのに、このままでは一緒に笑い物にされかねない

『フッ‥‥凛として胸を張れ。今日の君は誰よりも美しくて華がある』

‥えっ?

前を向いたままそう話す柊さんが視線を一瞬だけ私に向けると口角を上げて笑った

『よく似合っている‥八雲にファーストエスコートをさせたこと以外はパーフェクトだったのに残念だ』

「ッ!」

八雲さん‥‥絶対柊さんがこう思うって分かっててあんな事をしたんだと今になって気付き
苦笑いが溢れそうになる

ついさっきまで向けられていた視線が気にならないほど、ただ1人からの向けられた感情しかもう気にならない‥‥

柊さんの言葉は真っ直ぐで魔法みたいだ‥

「今からは社長だけの秘書ですよ」

『‥いい心がけだな』

莉奈さんの視線にも気付かず、それから多くの方と柊さんが挨拶をする際のサポートを隣でこなしていくと流石に疲れが出て来た私は、話が弾んでいた柊さんの元を少し離れてパウダールームに行かせてもらった

‥‥高いヒールに足がカチカチで明日はケアしないと筋肉痛になりそうなほどだ

あと少し‥‥柊さんが待ってるから戻らないと