あの時間を忘れる方法が あるなら

それから、柊さんは八雲さんにだけこの事を伝えたようで、私達は何もなかったかのように社長と秘書という立場に戻り過ごしていた

「社長、〇〇様から折り返しのお電話が入っております」

『繋いでくれ』

「かしこまりました」

最低限の会話や、応対。それは以前と変わらないが、やっぱり莉奈さんの風当たりは相変わらずキツかった

私とあまり関わらせないように敢えて莉奈さんを社長室の中にデスクを用意したと聞いた時は嬉しかったが、柊さんの仕事の邪魔になっていないかは気になってはいた

『心配ないよ。社長はその辺はうまく割り切ってやれる人だから』

八雲さんはそう言っていたから、目の前の仕事に集中し、ゴルフコンペやパーティーなども全て莉奈さんに帯同させるようにしてなるべく柊さんと一緒に動いてもらうよう仕向けた

『明日のパーティー、あなたも行くのは残念ね。でも仕方ないわね‥‥参列者の顔やサポートは私は分からないから』

覚える時間はたっぷりあるのに、社長室でいつも何をしているのかと聞きたくなった。
私は覚えるのに必死だったが、頑張れば覚えられなくもないのだから‥

明日のパーティーは会長不在の為柊さんが代表として参加される大切なパーティーだからこそ、出来る限りのサポートをしてあげたい

今の私にはそれしか出来ないからこそ、仕事の面だけでも側で支えたかった