あの時間を忘れる方法が あるなら

離れればいつか消えてゆく夢のような時間だと思えばいい‥‥柊さんを見ないで済めば心がラクになる‥‥気にしないでいられる

そう思っていたのに、離れた方がより寂しさが強くなり、会いたい気持ちも増してしまった

だからこそ、どうせ忘れられないのであれば、彼のそばで敢えてゼロからやり直す事であの時間を忘れる方法がもしかしたら見つけられると思ったのだ

ガチャ


『入っていいよ。ここは君の家だろう?』

目頭が熱くなりながらもグッと堪えると、既に懐かしさを感じるその場所に足を踏み入れ、柊さんに手を引かれて私が使っていた部屋に向かうと本当にあの時のまま何も変わっていなかった

『おいで‥‥食事をする前に話をしよう』

リビングに連れて来られた私をソファに座らせてくれると、大きな窓から見える高層階からの景色をジッと眺める

ここから外を眺めて色々な感情を抱いた

不安や悲しみ‥喜びや愛しさまで‥‥

それもこれも全部柊さんという人がいたから生まれたものなのだと改めて感じる

温かいミルクティーを持って来て下さった柊さんが私の隣に座ると、私をジッと見つめた後ソファに深く腰掛け手の甲で瞳を覆った

「‥大丈夫ですか?」

『いや‥‥大丈夫じゃない』

「えっ!?‥どこか体調でも悪いなら病院に」

『フッ‥‥違うよ‥‥ここに君がまたいる事が信じられなくて嬉しいんだ‥‥沢山傷付けてしまった場所だからもうこんな日は来ないと‥』

柊さん‥‥