あの時間を忘れる方法が あるなら

無理もない‥‥

確かにあのお屋敷で過ごした時の私の態度と今の莉奈さんとでは真逆なようなものだ

特に人を見る力が優れたお母様ならあんな態度を取ればそれ以上な態度で返されるのは当然の事だから

パンっ!!

「ッ!!」

ボーっと色々考えていたせいで、近づいてきた莉奈さんに気付かず思いっきり頬を叩かれてやっと我に帰ると、足のバランスを崩してそのまま床に倒れてしまった

『柊さんの前でワザと私に恥をかかせたんでしょう?』

八雲さんが秘書室に居ないのをちゃんと分かってて叩いたんだ‥‥
そう思いながらも起き上がり乱れた衣服を整えた

「仕事があるので失礼します」

私情は持ち込まない‥‥これは柊さんとの約束だから絶対に破りたくない‥

莉奈さんの機嫌が悪くなろうが、怒りを買おうが私は莉奈さんの部下ではないのだから‥

『待って!あなた本当に食事に行くつもりなの!?私と変わりなさい!』

「‥でしたら奥様にそう仰ったらいいと思います。私の一存で行かないという選択はあり得ませんので」

『ッ!』

背を向けて秘書室に戻ると、溜まっていた書類の整理や入力をし始めると莉奈さんは何処かへ行ってしまい入れ違いに八雲さんが戻って来た

『何かあった?』

「いえ、大丈夫です。メールの返信分の内容を見ていただけますか?」

当たり前にここで働ける環境に慣れたくない‥
悪い事をしていないのに叩かれるなんてどんな人生だと思うと、本当は泣きたかったが今は堪えて仕事に集中した