あの時間を忘れる方法が あるなら

手話ではなく直接お母様の声を聞けただけでも嬉しいのに、名前まで呼んでくれた‥‥

怖さよりもまた違う形でお話が出来るかもしれないと思い、振り返ってからもう一度前に足を進めると、座りながらもずっとこちらを見つめるお母様の視線を受け止める

「参りました‥何かご用でしょうか?」

『どうしてお茶を3人分用意したのかしら?』

‥‥えっ?

いつも当たり前に2人分のお茶を用意していた私には、お母様の分を含めて3人分用意した事は自然の流れだった

『お母様、何もおかしなことではないのに、何故そんな質問を?』

莉奈さんがクスっと笑いながらもそう言うと、氷室さんが素早く手話をした。

すると、お母様は莉奈さんの方を向き冷たい表情で口を開いた

『では、あなた勤務中なのに、どうして私達2人とお茶が出来ると思ったのかしら?あなたは八雲の補佐でしょう‥‥。立場的には佐々木さんの方が秘書という肩書きは上になる事は知っての事かしら?』

しまった‥‥そう言うことか‥‥!!

八雲のさんにもお客様は柊さんのお母様とだけ言われたのは莉奈さんの分はいらないと捉えないといけなかった‥‥

普段から出来てない事は外でも出来ないで‥

そう柊さんに言われた事が今現実味を帯びて自分にのしかかる

『ッ‥でも私は柊さんの!』

「申し訳ございません。今回の件は私が勝手に取った行動です。処罰はお受けいたします。」

『佐々木さん!何もそこまでしなくてもいい!
母さん‥莉奈をここに置いたのは俺だ。だから俺が』

『黙りなさい!』

ドクン