あの時間を忘れる方法が あるなら

柊さんの‥お母様‥‥

ほんの少し前の事なのに、あのお屋敷で一緒に過ごし、少しだけ自分のことを知ってもらえた人だけに胸が締め付けられてしまう

罪悪感‥‥そんな気持ちがあるからだと思う‥

『佐々木さん、大丈夫。君はいつも通りでいいから。』

「はい‥ありがとうございます」

私は今はただの秘書だ。

お母様の対応は莉奈さんがされると思うし、お母様が認めたとなれば、お2人は何の障害もなく居られると思うから、私などが気にすることではない

八雲さんが仰った通り、とにかくいつも通りの丁寧な対応と柊さんの秘書として恥じないようにしていこう

時間になると、柊さんと八雲さんがお母様を迎えにエントランスに向かわれたので私も給湯室で準備をし始めると、案の定1人になった私の元に莉奈さんがやって来た

『‥‥ねぇ、何をして私の事をお母様に認めて貰ったのか教えてちょうだい?』

今日の莉奈さんは薄いピンクの体のラインが出るセットアップスーツに身を包み、明るめのベージュの髪はふんわりと巻かれている

それに反して私は、グレーのベーシックな真面目なスーツにローヒールの黒のパンプス姿で比べ物にもならないのに、この人になり変わっていたなんて今思うと信じられないくらいだ

「何もしてません。毎日お手伝いさんと掃除してご飯を作ってただけです。私には特技がなかったので柊さんの顔を潰さないよう隣で静かにしてました」

『あら‥だったら私は大丈夫そうね‥。』

えっ?