あの時間を忘れる方法が あるなら

私の話なんかに興味を持ってもらえるとは思っていなかった

へー‥似てるね。そんな事が佐々木さんにもあったんだねって程度だと‥‥

「でも‥そんな‥ッ‥社長が興味ある話では」

『知りたい‥‥君のことが知りたいんだ』

至近距離で見つめられ、そんな事を言われたら大抵の人が勘違いしてしまうはず

私だって‥向けられる気持ちに勘違いしそうになるくらいだから‥‥

小さく頷くと、まずは食事が冷めないうちに食べ、食後の紅茶を飲みながら柊さんにあの時の事をゆっくりと話した

記憶は曖昧だけど、木々が生い茂るあの街の山で男の子と偶然出会った事。その子が誰かから逃げていたから一緒に逃げる途中、足を踏み外して山の斜面を落ちた時にこの傷ができた事。
そして交番まで行ってと言ったっきりその男の子とは会えなかった事を話す間、柊さんの顔色が目に見えて悪くなるのを感じた

「あの‥大丈夫ですか?」

話し終えると、片手で口元を覆っていた柊さんが少しだけ震えていることに気付く

どうしよう‥‥
もしかして似た境遇だったから何か思い出させてしまったのかもしれない

「柊さん!?‥ッ‥大丈夫ですか!?」

触れてはいけないと思いながらも緊急事態だと思い、隣に座る柊さんの肩にそって手を触れさせると、その手を柊さんが掴み強く握った

トラウマになっている事を思い出させるなんて
やっぱりこんな話‥しなければ良かった‥

もう片方の手で柊さんの手を包むと、いつもより低い手の温度を温めるように何度もさすってゆくと震える手で抱き寄せられ腕の中に閉じ込められた