あの時間を忘れる方法が あるなら

目の前のテーブルに並べられた焼きたてのパンやオムレツにスープやサラダ、それに色とりどりのフルーツに目を奪われていると、柊さんが椅子を引いてくれたので頭を下げて座った

『昨日あれだけ飲んだんだ。食べられる物だけでいいからしっかり食べなさい』

やっぱり相当お酒を飲んだな違いない‥‥

歓迎会だからといって羽目を外してまで飲んで迷惑をかけてしまったら後味が悪い

「あの‥ご迷惑をおかけしてすみません。社長がここに運んでくださったんですよね?」

さっき気づいたけれど、昨日のレストランから見えた景色とここからの景色が同じだったからもしかしたら他の階はホテルだったのかもしれないと‥

だとしても、こんな高そうなホテルに泊まったことなどなく、迷惑をかけている事には変わりない

『家まで送っていきたかったが心配でね。莉奈も居たから一緒に送るわけにはいかなくてね‥やむを得ずここに泊まらせたが安心しなさい。他のみんなも同じように酔い潰れてここに泊まっているから。それよりも温かいうちに食べなさい』

他の人達も泊まったという事で少しは気持ちが軽くはなったが、社長と2人きりの食事はとても緊張してしまう


「あの‥‥私とここに居て大丈夫ですか?」

やましいことはしていないとしても、休日の朝から柊さんと優雅に朝食を食べてる事が普通ではないのだ

美しい作法で食事をする姿に目を向けながらも、ここにいるべき人は私ではないと思う

『何も心配しなくてもいい。食事を終えたら家まで送って行くよ。君は俺の大切な秘書だからな‥‥』

柊さん‥‥