あの時間を忘れる方法が あるなら

『今日は佐々木さんの歓迎会を兼ねて日頃働きやすい環境を作ってくれる秘書の皆さんへ感謝の意を込めて好きな物を好きなだけ食べてください』

社長の言葉に森谷さんや梶さんが大喜びする姿が可愛くて思わず笑みが溢れる

『勿論佐々木さん、君もだから』

「はい‥ありがとうございます」

はじめに全員でシャンパンで乾杯をすると、次々と運ばれてくる美味しそうな料理にみんな目を輝かせながらその美味しさを堪能していた

誰かが作ったご飯だけでも美味しいけど、普段食べ慣れない見た目も素敵な食事はご褒美に相応しいほどだ

仕事中とは違って楽しく笑いながら過ごす時間に、普段1人で暮らしている私には誰かと食べる食事だけでも美味しく感じられた


『こら‥‥飲みすぎだ。』

「えっ‥まだ‥大丈夫です‥よ?」

『フッ‥‥そんな顔して言われても説得力がないがな。』

何杯飲んだか分からないけれど、楽しい雰囲気と梶さん達の早いペースに巻き込まれて飲み慣れないお酒を体内に入れ過ぎたかもしれない

フワフワする間隔に、持っていた白ワインのグラスに口付けしようとするも、社長に取り上げられてしまった

『そろそろいい時間だな。八雲、車を呼べ』

『えっ?もう帰られるんですか?』

『佐々木さんを送ってくる。新人の彼女に何かあったら親御さんに申し訳ないからな』

柊さん‥‥

「自分で帰れます‥近いです‥から‥あっ!」

立ち上がった瞬間に一気に酔いが回ったのか、誰かに支えらた気がしたが、疲れと眠気にも襲われ、その温かさにいけないと思いつつもそのまま瞳を閉じた