あの時間を忘れる方法が あるなら

あれから莉奈さんとは相変わらずと言ってはいけないが、基本的には社長室にいるのであまり関わらないようには出来ているのが幸いだ

最初は2人の姿を見るのが怖かった‥‥

抱いてはいけない気持ちを持ってしまった以上、柊さんの側にいるのは辛すぎると思っていたけれど、仕事上でしか関わらない関係で常に気が張っている為、あの頃のような気持ちは一切出さずにいられた

「八雲さん、チェックお願いします」

働き始めて丸2週間が過ぎ、任せてもらえる仕事も少しずつだが増えて忙しさは増している

この仕事量を1人でされていたなんて八雲さんはある意味化け物に近い頭脳を持っているのだと改めて感じた

『うん、悪くないからそのまま返信して大丈夫。』

「ありがとうございます」

まだまだ半分以上はダメ出しを貰うこともあるけれど、八雲さんだけではなく秘書課の方々とも仲良くさせていただき仕事自体は楽しいと思えている

「秘書課に行ってきます」

下の部署からまわされる書類を常務や専務がチェックし、それを今度は社長に渡す為、日に2回はこうして秘書課に足を運んでいるのだ

「お疲れ様です。」

『結愛ちゃんお疲れ様。はい今日の分』

「ありがとうございます」

手紙や書類を受け取りサインをすると、専務の秘書である森谷 玲(もりや れい)さんと常務の秘書の梶 奈帆(かじ なほ)さんにいつものように取り囲まれた

2人とも莉奈さんとしてここにいた時から仲良くして下さった美人な秘書さんで、佐々木 結愛として来た今でも優しく接して下さっている

『莉奈さんってば、本当に何があったのか別人みたいじゃない?あんなに腰が低かったのに』

ドキッ