あの時間を忘れる方法が あるなら

持っていたバインダーをさっと抜き取られ、慌てて取り返そうと手を伸ばしたが、莉奈さんはそれを背中に回して隠してしまった

『私だって柊さんの秘書なのよ?あなたがしなくても私の方がそばに居る事忘れないで?』

「いえ‥そういう事ではなくて、大切な書類は直接社長に手渡しないと規則が」

八雲さんにも言われている。秘書と言えど、書類の内容を全て閲覧出来るわけではないと‥

なので私も書類を受け取る際は裏面にして受け取りそのままバインダーに挟むのだ

『後でサインして貰ったら持ってくわ。』

「えっ!?あ‥莉奈さん!」

バタンと閉じられた扉は私が勝手に開けてはいい扉ではない為どうしようも出来ず仕方なく秘書室に戻るしかなかった

『今日のお昼の会食は社長と莉奈さんに行ってもらうことになったから、僕らもお昼休憩にしよう』

「‥‥はい」

『どうかした?』

1時間前に渡した書類の事がどうしても気になってしまい、とても食欲など湧かない‥‥

柊さんなれいつも書類を確認したらその場でサインしてくれることのほうが多かったから、時間と共に不安が増してしまっていた

八雲さんに経緯を説明すると、少し悩みながらも何かを考えているようだった

『この事は僕に任せていいよ。体力が資本だからきちんとお昼は食べようね』

「はい‥ありがとうございます」

八雲さんに頭を優しく撫でられていると、ちょうどそこに会食に出掛けようとしていた柊さんと莉奈さんが社長室から出てきた