あの時間を忘れる方法が あるなら

無事にお使いから戻ると、秘書室に八雲さんしかおらず、私はお使い時に出た領収書などをすぐ経理に出すファイルに纏めた

「あの‥長浜さんは外出ですか?」

『ん?‥‥‥ああ‥彼女なら社長室に呼ばれて行ったっきりだよ。それより佐々木さんスケジュール管理の仕方を教えるからこっちに来て貰えるかな』

少しばかりの動揺はしつつも、勤務中という事を忘れてはいけない為、八雲さんにフォーマットの使い方やスケジュールの上手なたてかたをメモしながら聞いていた

『やっぱり覚えが早いね。教える側もこうだと助かるよ。正直1人でこなせない程の仕事量だから社長から人員を増やしてくれて助かったんだ‥‥』

見ていて分かる八雲さんの働きぶりは、社長をスムーズに仕事をさせるのに欠かせない

こんな風に先の先まで見越して行動できる仕事を当たり前にこなせる日が私にも来るだろうか‥

『佐々木さん、社長にサインをもらってきて欲しい書類があるから頼める?一件今のうちに取引先の人にアポを取りたくて』

「勿論です。行ってきますね」

預かった書類を革のバインダーに挟むと、社長室をまたノックした

「佐々木です。」

『‥‥‥』

いつもは聞こえる返事が聞こえずその場に立ち尽くしていると、扉が開き社長ではなく莉奈さんが居て少しだけ後退りしてしまった

「あの‥社長は‥」

『柊さんなら新しい土地の売買の事で営業部に行ってるわ。何か用?』

「え‥‥あ‥書類のサインの件で伺いましたがまた出直します。」

『そんなの私が渡せばいいだけでしょ?』

えっ!?