あの時間を忘れる方法が あるなら

あんな事‥ただの社員にする事じゃない‥‥
あんなの‥誰だって勘違いしたくなる‥‥

たった数秒の事なのに、あの温もりがもう恋しいと心が叫んでしまいそうで、目頭に涙が滲んだが、最後に見せてくれたあの笑顔に溜め息混じりの笑みが溢れた

五日間お世話になった会議室を掃除をして片付けると、まだ仕事をしていた安倍さんに挨拶をしてから家に帰った

「はぁ‥‥最後の最後に疲れた‥」

柊さんを社長として見れば以前よりは動機もそこまで起こらなくなったけど、2人きりはまだまだ色々を思い出したりしてしまう

スーツを脱ぎ着替えると、チャイム音が鳴ったのでドアモニターを覗けば、八雲さんが居たので急いで玄関の扉を開けた

「こんばんは。どうされさんですか?あ‥‥もしかして」

『差し入れです。』

茶色の大きな紙袋を2つ私に持たせてくれると、中には野菜やフルーツなどの食材などが沢山入っていた

「あの‥お金払います。引っ越して来た時も冷蔵庫いっぱいの食材やお米とかが用意してあったのですがそれも八雲さんですか?」

どう見ても仕事帰りで疲れの見える八雲さんがわざわざ私なんかのために食材を買ってくるなんて立場的におかしい

『あ‥いえ‥私と言えば私ですが‥匿名で差し入れと言うことにしておいて下さい。では私はこれで。』

「えっ!?あ‥あの‥社長の秘書にと今日言い渡されました。八雲さんのそばでゼロから学ばせていただきますのでご指導よろしくお願いします。」

受け取った荷物を玄関横の棚の上に置くと、八雲さんに向かって頭を下げた