あの時間を忘れる方法が あるなら

『社長直々にそう言われたら俺は何も言えないさ。ただお前が決めたんだから何かあった時は社長が責任を負えよ?』

『フッ‥‥彼女のミスくらい受け止められない器なら社長なんてやってられない。連れてきた時点で覚悟なんてしてある』

えっ?

『はぁ‥‥何か俺、お前の掌で転がされてない?忙しいんだけど分かってる?』

『そうか?遊ぶ時間があるくらい暇だと思ったが違ったか?』

私の返事など聞くそぶりすら見せず2人でまた火花を散らすように話し出してしまい、どうしていいか分からなかったが、私の視線を感じたのか安倍さんがこちらを見てニヤっと笑うとまた柊さんの方を向いた

『‥‥長浜 莉奈はどうするんだよ』

ドクン

安倍さんが莉奈さんの名前を口にした途端に、
私の体が強張る

柊さんには溺れている人がいるからと言っていた時点で莉奈さんがいるから好きになるなと警告をされていた事は分かっていた

社長自ら会社に連れてきた人が自分の身代わりをしていた人で、資格もない高卒者が同じフロアにいるだけでも嫌な気持ちになるはず

いくら私情を挟まず仕事をしたとしていても、本物と偽物が近い場所にいる事自体おかしな話だ

『さっきも言ったはずだ。私情は関係ないと。
仕事とは関係ない感情を勤務時間内に持ち込むなら即刻辞めてもらうだけだ。』

『ふーん‥じゃあ俺の仕事はここまでだな。それじゃあまだ仕事が残ってるからお先。佐々木さんも片付けたら上がっていいからね。』

「えっ!?あ‥‥私‥まだ答えを」

『答えなら直接そいつに言えばいい。じゃ!お疲れ様!』

えっ!?