あの時間を忘れる方法が あるなら

美味しいものを沢山食べたいとか、色々な場所に旅行に行ってみたいとか夢だってないわけじゃない

ただ‥柊さんがどういう理由で私をまたここへ導いたかは分からないけれど、0から始めて未知な自分でも努力をすれば必要とされるのか知りたいと思えたのだ

佐々木結愛として嘘偽りない気持ちを柊さんから目を逸らさずに伝えたのはもしかしたら初めてかもしれない

『泰雅』

『何だよ』

『俺も知りたいんだ‥彼女が必要かどうかを。だから場所配置は‥俺の秘書にしてくれないか?』

えっ!!?

安倍さんに話しかけながらも私から視線を逸らさない柊さんに目を見開き驚いてしまう

高卒で資格もない私が社長の秘書?補佐じゃなくて!?

雇ってもらったご恩は勿論あるけれど、秘書は八雲さんも莉奈さんもいるのに、私はそこに居たら莉奈さんだって嫌なはず‥‥

「ッ!それは無理です‥他の部署でお願い出来ませんか?」

社長に楯突くなんてしてはいけないと思ったけれど、柊さんと莉奈さんの側でなんて今の私には‥

『必要とされたいなら私情は持ち込まず実力だけで勝負すればいい。その姿勢に対してしっかりやれば周りは何も言わなくても認めてくれる。』

柊さん‥‥

確かに、私の『無理』は2人の側にいる時の自分の感情をコントロール出来ないからという事だけで、仕事には一切関係ない‥

個人の私ではなく秘書と社長という立場のみでの立ち位置を理解した上で私情を捨てればいいだけという事だ