あの時間を忘れる方法が あるなら

君に来て欲しい‥その言葉に嘘はなかったが、来て欲しいと居て欲しいとはまた別の話になるからだ

2人の会話も頭に入って来ない状況で、時折感じる視線にも耐えて前を向くしかなかった

『佐々木さん』

ドキッ

『君はどうしたい?』

えっ?

会社の面接なんてアルバイトととは違って受けた事がない私にとっては、年齢の割に社会人としての経験がほぼない

どう答えるのが正解かすら分からないし、何より2人の視線が突き刺さり膝の上で重ね合わせた手に朝が滲み始める

「まだ何も始まってないので分かりません‥。
頭に入れれる事は覚えましたが、本当にここで役に立つかはこの部屋を出てから評価願います」

開発、企画、営業、管理、総務や人事などのバックオフィス関係者で構成され、この本社以外にも支社を連ねる大企業の事など以前いた3ヶ月では何も分かっていなかったという事だけは思い知らされた

柊さんがどれほど忙しく責任感のある立場にいる人で忙しい合間に契約生活をしてくれていた事も含めて何も分かっていなかったことも‥‥

ただ、やると決めた以上は、今までだって突き進んで来たからには、研修だけで終わりたくない‥‥

『佐々木さんは欲はないのか?生理的欲求や、物理的欲求、あとは精神的な欲求とかさ。』

えっ?

以前柊さんに同じ事を聞かれた事がある‥‥
君は欲がないのかって‥‥

あの時はよく分からなかったし無いと思っていたけど、今なら言える

「私は、誰かに必要とされる人になりたいです」

偽りではなく、本当の私として誰かのそばで必要とされてみたい‥‥そんな気持ちがいつの間にか芽生えていた