碧い季節に、陽だまりのような君を。


翌日の木曜日。

「部活頑張って!また明日」

カバンを背負った笠原くんが振り返り、白い歯を見せて私に笑いかけてくれた。

「また明日ね!」

東昇降口につながる階段に向かう笠原くんに背を向け、私は南階段に向かう。

2階に降りて右に曲がって、奥から3番目の教室の扉を開ける。

一歩足を踏み入れると、畳の匂いがぶわっと私を包み込む。私の好きな匂いだ。

「こんにちは」

私が挨拶すると、先に来ていた副部長の谷瀬月架(たにせつきか)先輩がポニーテールを揺らしながら掃除をしているところだった。

「こんにちは」

箒(ほうき)を持ってにっこりと笑みを浮かべた先輩を私の視界がとらえた瞬間、教室の扉が開く。

「結羽ちゃーん」

明るい声の主を誰か認識する前に、先輩が「花凛(かりん)ちゃん、久しぶり」と笑みを浮かべた。

「せんぱーい、お久しぶりです!」

入り口すぐの、畳の張られていない灰色のリノリウムの床の上で花凛ちゃんが上靴を脱いで荷物を置く。

そのまま先輩に駆け寄っていく彼女を見て、私も上靴を脱いで畳に上がる。

「今日何するんですか?」

私が聞きたかったことを花凛ちゃんが代弁してくれる。

「うーん…あと1ヶ月で文化祭だしどういうのを展示するかくらいは決めようかな」

文化祭。

1年D組ではクラス展示をすることになって、1学期の終わりの方に何をしたいかの希望をとっただけで終わったことを思い出した。

フォトスポット、脱出ゲーム、お化け屋敷、迷路、縁日。

楽しそうだとは思ったけど、自分がそこに参加している姿がどうしても想像できない。