ーーバイト後。
バイトおわるまで待っててくれた湊。
一緒にタクシーで湊の家へ帰宅。
タクシーはとくに会話なく静かだった。
部屋に入る。
玄関。
靴を脱ぐ。
湊は何も言わない。
そのままリビングへ向かった。
私は後ろをついていく。
まだ静かだった。
静かすぎた。
そして。
「莉桜」
ソファに座る湊。
照明もつけない。
暗くて静かな部屋。
「おいで」
湊が言う。
私は黙って近付く。
腰を引かれる。
そのまま膝の上。
ミニスカートの裾が少しだけ上がる。
向かい合わせ。
逃げ場がない。
「俺が何話そうとしてるか分かるよね」
首筋に冷たい指が触れる。
私は小さく頷く。
「言ってみて」
「……琉生のこと?」
「神崎と随分仲良さそうだったな」
「仲良さそうって…」
「違うの?」
静かな声。
でも。
確実に怒ってる。
「あの距離なに」
腰を抱く腕に力が入る。
「仕事中だったし」
「そういう話してない」
即座に切られる。
「神崎に悪気ないのは分かる」
「……」
「けどお前は?」
湊の手が露わになった太ももを撫でる。
動作は優しい。
なのになぜか怖い。
「なんであいつだけ許した?」
「友達だから」
「友達?」
湊が繰り返す。
無表情。
「それ本気で言ってる?」
「言ってる」
「へぇ」
短く笑う。
「じゃあ友達だからって」
「男の膝に座る?」
返せない。
「座らないだろ?」
「それと同じ」
そして。
顎を持ち上げられる。
「そろそろ理解しろ」
笑ってない。
静かな命令。
「湊」
「なに」
「違うよ」
「何が」
即答。
