ーー湊side.
莉桜のバイト先へ飲みに来た。
単純に莉桜が働いてるから飲みに来た。
それも嘘ではない。
でも莉桜の接客や男との関わり方。
それを確認する目的もある。
思っていたより。
莉桜は目立っていた。
店に入った瞬間から男の客が見る。
莉桜が通るたび見る。
そして話しかける。
「やっぱ莉桜ちゃんモテるな」
友達が言う。
「だろうな」
湊は短く返した。
気分は良くない。
また男の客が莉桜に話しかける。
「可愛いね」
「ありがとうございます」
笑顔。
いつもの営業スマイル。
その笑顔を見て。
俺は少しだけ眉をひそめた。
ああいう顔をするから。
男は勘違いする。
本人は悪くない。
悪くないのは分かっている。
でも。
分かっていない。
自分がどれだけ可愛いか。
どれだけ見られているか。
だから心配になる。
まぁでも…
莉桜は思ったよりちゃんとしていた。
必要以上に近付かない。
笑顔も営業用。
ちゃんと距離を取っている。
少しだけ安心する。
その時。
俺の視線の先に関谷新。
無駄な会話はしない。
接客も淡々。
女子グループに話しかけられる。
でも適当に流して終わる。
莉桜と話す時も業務連絡だけ。
距離も近くない。
真面目で硬派そうな男。
こういう男なら分かる。
一線を越えない。
ちゃんと距離を知っている。
莉桜と仲が良いのもまだ問題はない。
女として見ていないのが分かる。
少なくとも。
こっちは大丈夫そう。
問題は…
俺は視線が移す。
もう1人。
神崎琉生。
「あ」
友達が反応する。
「経済の神崎じゃん」
「知ってるのか?」
「神崎は有名だろ」
友達が笑う。
たしかに噂ではよく聞く。
「女子人気えぐい人」
「…」
俺は黙る。
