君の隣で、私になれた



そして。

紅羽の質問攻めが始まった。


「湊くん優しい?」

「優しいよ」

即答。

迷いがない。


「どんな風に?」

「心配性かな」

「例えば?」

「帰り遅いと連絡くる」

「可愛い」

目をキラキラさせる紅羽。


「あと、よく怒られる」

「なんで?」

「危なっかしいから?」


「それはある」

新が肯定。

「あるな」

俺も肯定。

「あるね」

紅羽も肯定。

満場一致だった。


「みんな失礼だなぁ」

莉桜が笑う。

楽しそうだった。


「でも湊くんしっかりしてそう」

紅羽が言う。

「うん、私よりちゃんとしてる」

「歳上だしな」

新が納得したように頷く。

「一個だけだけど」

莉桜は笑う。


「私が考えてないことまで考えてくれる」

「いい彼氏じゃん」

紅羽のテンションが益々上がる。

「いい彼氏だな」

新も頷く。

俺も笑う。



でも。

少しだけ引っかかった。



『私が考えてないことまで考えてくれる』

『よく怒られる』

『心配される』

『男といると心配される』


全部。

一個ずつならたぶん普通なんだろう。



「でもほんと理想」

紅羽が言う。

「そうかな」

「そうだよ!」


「一途で!優しくて!迎えも来てくれて!」

「ちゃんと莉桜のこと好きだし!」

「確かに」

新もまた頷く。

「いい彼氏だと思う」

「うん、私もそう思う」

莉桜が少し照れながら笑った。


本心だった。

なんとなくそれが分かる。


だから。

余計に何も言えない。