君の隣で、私になれた



ーーーバイト初出勤日。


今日はいよいよバイトデビューの日。


「やばい」

店に入るなり紅羽が言う。

「どうしよう、緊張する」

「してなさそう」

「してるって!」

私が笑うとバシっと肩を叩かれる。



紅羽とは。

あれからよく連絡を取るようになった。


2人でカフェにも行って。

出会って1ヶ月も経ってないのに。

そうとは思えないほど仲良くなった。


これもすべて紅羽のおかげ。




「おはようございまーす!」

意気揚々と大きな声で挨拶をする紅羽。


やっぱり緊張してなさそう。





ーー営業開始。


最初の仕事はドリンク運び。

先輩に説明を受ける。

そしてそれぞれ持ち場につく。



「待って待って!」

数分後。

焦る紅羽の声が聞こえる。

「これどこのドリンクだっけ!?」

「えっ、覚えてないの??」

「覚えてたんだけど忘れちゃった!」


伝票を確認しに行く。

そこには琉生くんがいた。


「琉生ー!これどこのかわかんない!どーしよ!」

「落ち着けって」

そう言って琉生くんは伝票をチラッと見る。


「たぶん3番テーブル!」

「たぶん!?」

「行ってこい!」

「よし!」

「ちょ…っ」

呼び止めようとしたけど行ってしまった。


2人が離れたあと伝票を確認する。

「やっぱり違う…」

結局、3番ではなく5番だった。


紅羽の方をみると、

「間違えた!わー、ごめんなさーい!」

紅羽は笑っていた。

お客さんも笑っていた。

なぜか許される…どころか仲良く話してる。



「すごいな…」

私には真似できないコミュニケーション力。





一方。

紅羽に匹敵するコミュニケーション力を持つ人。

琉生くんは初出勤とは思えなかった。


少し歳上の女性グループのお客さんと話してる。

「お兄さん大学生?」

「大学生!ピチピチの1年生ですー」

「絶対モテるでしょ?」

「よく言われます!」


即答…