その男も気付いていた。
紅羽が自分を見ていることに。
でもそれに紅羽は気付かない。
ーー…
かっこよくてその人から目を離せない。
そしたらまさかの。
向こうから近くにきてくれる。
「紅羽ちゃんってさ、」
そして私に話しかける。
「はい!」
「分かりやすいよね」
「え?」
「顔に出てる」
笑われる。
気持ちバレバレだった。
恥ずかしい。
でも嬉しい。
だって私のこと見てくれてたってことでしょ?
「うそ、出てました?」
「出てた」
笑って私の頭を撫でる。
「可愛い」
「…っ」
まさかの脈あり!?
どうしよう、嬉しい。
私は完全に惚れてしまっていた。
次の恋を見つけた。
ーー解散。
駅前。
「じゃあまたねー!」
友達たちが帰る。
連絡先を交換できただけでも大収穫!
そう思って私も帰ろうとする。
そしたら、
「紅羽ちゃん」
例の先輩に呼び止められる。
「もう帰るの?」
「うん」
「俺まだ飲み足りない」
先輩は少し笑う。
「もうちょっと付き合ってよ」
そう言って私の肩に先輩が腕を回す。
お酒も入ってるし、近いし、
心臓の跳ね上がる。
「ふたりで??」
「ふたりで」
優しい顔で笑う先輩。
私には疑うという選択肢はなかった。
それから2人で駅前のバーで飲む。
結構飲んだ。
先輩は優しくて話しやすくてかっこいい。
そして距離が近い。
ずっと肩に回されている腕。
近い横顔。
私の心臓はずっとバクバクと音を立ててる。
「この後どうする?」
「え?」
頬に触れられる手。
じっと私を見る視線。
断って帰るなんて考えられない。
私の中で答えはひとつ。
「帰りたくない」
「俺も」
そこからの展開は早かった。
