ーー同時刻。
食べ物を買うために列を探す紅羽。
その時。
近くにいた男2人が話しかける。
「ねぇよかったら昼一緒に食べない」
紅羽が足を止める。
「え?」
完全にナンパ。
紅羽は人見知りをしない。
だから普通に感じよく返事は返す。
「友達と来てるからごめんなさいー!」
「えー、少しくらいいいじゃん」
「お姉さんスタイル良いなーと思ってて」
「あ、なんなら友達も一緒に」
「いやー…」
もう1度断ろうとしたら。
「紅羽」
急に現れて名前を呼ぶのは新。
男たちが黙る。
「飲み物、お前のも買うから」
「来い」
それだけ。
「え?」
戸惑う紅羽。
「早く」
急かす新。
男たちは察する。
おそらく彼氏ではない。
でも入り飲む隙がない。
紅羽は首を傾げながら新についていく。
ー…
「もしかして助けた?」
紅羽が聞く。
「別に」
「ナンパだったよね?」
「だったな」
「優しー!」
そう言って紅羽は笑う。
「うるさい」
口調は強いけど顔は穏やかな新。
ーー…
海の家へ戻る。
さっきの出来事を思い出す。
そして紅羽が上機嫌で話してたのを思い出す。
紅羽を助けた新。
私を助けてくれた琉生。
偶然だったのかもしれない。
でも、2人とも迷いがなくて。
当たり前みたいに助けてくれて。
その後は何事もなかったみたいに戻る。
特別扱いではない。
優しさを見せたわけでもない。
やり方も違う。
新は必要なことしか言わない。
琉生は距離が近い。
でも。
根っこのところは少し似ている。
困っていたら助ける。
それが友達でも。
仮に知らない人だったとしても。
たぶん同じ。
私たちは特別ではない。
そう思ってた。
