君の隣で、私になれた



「…成瀬莉桜です」

三人の視線が集まって少し緊張する。

「慶應文学部一年」

少しだけ考える。

「えっと……カフェが好きです」

そして控えめに笑う。



「へぇ!!」

紅羽ちゃんがキラキラした顔で身を乗り出す。

「今度、一緒に行こうよ!」

「行きたい!」

自然と笑みがこぼれる。



「莉桜ちゃん可愛いね」

突然。

琉生くんがさらっと言う。

「えっ」

思わず固まる。


「やっぱチャラ!」

紅羽ちゃんが即座に指を差す。

「たしかに今のはチャラい」

新くんまで頷く。


「なんで!」

琉生くんが不満そうな声を上げる。


「だって可愛いじゃん」

そして私を見る。

「なんかウサギみたいで」


「ウサギ……?」


人生で初めて言われた。

これは褒めてる?貶してる?



「チャラい」

「チャラい」

「いや意味わかんねーって!」

笑いが起こる。


その時。

「てかさ」

紅羽ちゃんが目を細めた。

「なんで私だけ呼び捨て?」

「なんとなく」

「え、なんかうざっ」

「ひど!」

また笑いが起こる。




初対面なのに。

まだ会って30分も経っていないのに。

不思議なくらい居心地がよかった。





「てかさ…みんな慶應じゃん!」

「え」

「ほんとだ」

「しかも1年」

「マジか」


偶然。

同じ大学。

同じ学年。

同じバイト先。



誰も知らなかった。

この日作ったグループLINEが、

大学生活だけじゃなく、

十年近い付き合いになることを。