君の隣で、私になれた



ーー夜中。


完全に静かになった部屋。

2人並んでベッドに横になる。


「ねぇ」

「ん?」

「琉生くんって好きな子いる?」

少し考える。


「いない」

「元カノは?」

「今日別れた」

「それは聞いた」

笑って体を寄せてくる。

「なんか全然引きずってなさそう」

「そうかな」

「普通ならもっと落ち込むよ」


俺は曖昧に笑う。

「まぁ…そういうタイプじゃないし」

「ほんと何考えてるか分かんない」

これ言われるの今日2回目。


「よく言われる」

「私なら無理かも」

「何が?」

「好きな人が別れた日に別の子と遊ぶの」

「そういうもん?」

「そういうもん」

結花ちゃんは呆れたように笑う。


少し沈黙。

そして、


「琉生くんの彼女になりたい」

やっぱりストレート。

「無理なんじゃなかったの?」

「うん無理。けど付き合いたい」

よく分からない。

まぁどっちでもいいんだけど。


「いいよ」

「え?」

結花ちゃんは固まる。


「彼女なりたいんでしょ?」

「いや、なりたいけど…」

「じゃあいいじゃん」

「そんな軽いの?」

「重い方がいい?」

そう言って笑う。


結花ちゃんは何も言わない。

そして、静かに見つめてくる。


「…ほんと分かんない」

小さく呟く。

「でも好き」

「うん、俺も」

俺はいつもどうり笑う。

結花ちゃんも嬉しそう。



でも。

その『好き』と、

『俺も』は

たぶん同じ意味じゃなかった。




ーー翌日の経済学部。


「琉生!結花ちゃんどうなった?」

「付き合った」

「でた」

「最近で1番可愛かったもんな」

「くそー、また琉生かよ」

男友達たちが盛り上がる。


そしてその中の1人が言う。

「今日は青山の子と合コンだけど」

「琉生は無理だな」

「行く」

「は?」


沈黙。


「お前また…」

「彼女いるだろ」

「別れろ」

周りが笑う。