君の隣で、私になれた



「いつも莉桜がお世話になってます」

彼氏…湊さんは軽く頭を下げる。

感じは良い方。

というかむしろかなり良い。


「いやいや!こちらこそ!」

紅羽が慌てる。

「湊くんって医学部なんですよね!?」

そして目をキラキラさせて聞く。

「そうだよ」

「しかも主席って本当!?」

「うん、本当」

湊さんは紅羽の勢いに笑いながら答える。

「やば!!すごすぎ!!!」


医学部ってだけでも他の学部より格上。

しかもその医学部で主席ってどんだけだよ…


「すごいな」

思わず声が漏れる。


「神崎くん有名だよね」

突然、湊さんがこっちをみて言う。

「え?」

「経済学部の神崎琉生くん」

まさかの発言に驚く。


「よく噂で聞く」

「そうですか?」

「うん、結構よく聞く」

湊さんは少し笑う。


「うわ出た、有名人じゃんあんた」

「湊くんまで知ってるんだ」

紅羽が呆れたように言う。

「悪い意味でもな」

新がぼそっと言う。

「おい」

「事実」

「ひど」

笑いが起きる。


「まぁ噂なんて半分以上盛られてるんで」

そう言うと湊さんは少し笑う。

「そう?じゃあ半分は本当?」

湊さんが言う。

一瞬だけ沈黙。


「どうでしょう」

俺は曖昧に笑った。

湊さんもまた笑う。


一見、普通の空気感。

けどなんか少しだけ違和感が残る。



「湊くんってほんと莉桜に優しそうだよね」

紅羽が言う。

「そうかな?」

「うん!莉桜めっちゃ大事にされてそう!」

その言葉に莉桜が少し困ったように笑う。

「そんなことないよ」


すると、

「いや、放っとくとすぐ無理するから」

「あはは…」

莉桜が苦笑する。

「えっ、ほんと!?」

驚く紅羽。

「うん、ほんと」

それに即答する湊さん。


「ちゃんと寝ないし、ご飯も適当」

「そんなことないって」

莉桜が小さく反論する。

「ある」

湊さんはそう言って笑う。

「だから見てないと危ない」

その言葉に莉桜は何も言わない。

ただ困ったように笑うだけ。


「えー!優しいー!!」

紅羽は目をキラキラさせて関心したように言う。

「私もそんな彼氏ほしい!」

「やめとけ」

新が即答する。

「なんで!?」

「お前は面倒だから」

「失礼!」

再び笑いが起きる。


俺は黙ってその様子をみていた。