ーーー大学1年の冬。
ーー莉桜side.
「ねぇ!」
バイトへ向かう途中。
駅前広場で紅羽が振り返る。
「イルミ見て行こうよ!」
「え?」
「バイトまでまだ時間あるじゃん!」
「たしかに」
「珍しく良いこと言うじゃん紅羽」
琉生が笑う。
「珍しくは余計!」
「寒い」
新だけ不機嫌だった。
「新は放っといて行こ!」
「ひど」
結局4人でイルミネーションの並木道を歩く。
「綺麗…」
思わず声が漏れる。
「ね!」
紅羽が嬉しそうに笑った。
白と金色の光。
冬の空気。
いつもの街中なのに少しだけ特別に見える。
「みんなで写真撮ろー!」
「うん!」
「ほら新も!」
「俺はいい」
「撮るの」
「強制かよ」
「強制!」
紅羽と新は今日もいつもの調子。
琉生が笑いながらスマホを構える。
「ほら撮るぞー、寄れ寄れ」
「近い」
「新はもっと笑え」
「無理」
みんなで写真を何枚か撮る。
その後は個々でイルミネーションを撮っている。
その時。
私のスマホが震える。
湊からのLINE。
『いまからバイト?』
『いま何してる?』
画面を見る。
ほんの少しだけ、胸がざわついた。
「莉桜?」
紅羽が振り返る。
「あ、ごめん」
私は笑った。
「ちょっとLINE返してくるね」
みんなのところから少しだけ離れる。
『バイト前にみんなでイルミ寄ってる』
『連絡遅くなってごめん』
送信。
すぐ既読がつく。
『いつもの4人?』
『男もいたよね?』
『写真は?』
一瞬。
指が止まる。
また胸の奥が少し重くなった。
