「え……。」
「女の子とも距離取ってるって」
「触れられてもさらっと離れるらしい」
そんな琉生。
想像もできなかった。
「……なんで。」
思わず零れる。
紅羽は。
コーヒーを一口飲んで。
小さく笑った。
「理由は分かんない」
「本人しか知らない」
「でも私は…」
「そんな琉生見たことない」
その一言で。
頭の中に今までの出来事が。
一つずつ繋がっていく。
羽田まで迎えに来てくれた日。
横浜へ遊びに行った日。
『だって可愛いから』
『俺が莉桜に会いたくて行ってる』
『昔から好き』
全部。
全部。
「……。」
胸が苦しい。
嬉しい。
でもやっぱり怖い。
「紅羽。」
「ん?」
「もし……もしだよ?」
「琉生が。」
「本気で誰かを好きになったら、」
「どうすると思う?」
紅羽は。
少しだけ笑った。
「それ、本人に聞くしかなくない?」
「……。」
その通りだった。
私はずっと。
“琉生だから”
そうやって自分で決めつけてきた。
でも、もし。
その”琉生だから”が。
間違っていたら……
もし。
あの言葉も、あの笑顔も、
全部。
私だけに向けられたものだったら……
その日。
胸の奥にあった期待は。
もう見て見ぬふりができないくらい。
大きくなってしまった。
