君の隣で、私になれた



「琉生って ……」

「やっぱかっこいいよね」

思わず笑う。

「急だな」

「改めて見ると整ってるなーって」

そう言って指を立てる。

「優しいし、」

「一緒にいて楽しいし、」

「気遣いもできるし、」

ふにゃっと笑う。

「だからあんなにモテるんだね」

「納得……」


……。

急に褒められて少し戸惑う。

「ありがとう」

それしか返せなかった。


少しだけ沈黙。


莉桜がぽつりと呟く。

「私も……」

「そんな彼氏ほしいなぁ」


胸の奥が少しだけ苦しくなる。


その言葉は嬉しい。

でも、あと少し届かない。

そんな距離だった。


けれど。

『彼氏ほしい』

その一言はもう。

前を向けてる証拠でもあった。



そこへ。

新が氷を持って戻ってくる。

「何話してた?」

「内緒ー」

莉桜が笑う。

「酔っ払い」

新も笑う。

空気が戻る。


新がウイスキーを口に運ぶ。

その横で莉桜が。

自然と俺の肩へ寄りかかった。


「……。」

完全に無意識なんだろう。

新にはそんなことしない。

俺にだけこの距離。


そっと肩を貸したまま。

俺は何も言わない。


……反則だろ。

好きになってからこんなの。

初めてだった。


ーー…


「そろそろ寝るか。」

新が時計を見る。

「莉桜、立てる?」

「……んー」

立ち上がろうとしてふらつく。


「これは無理だな」

「ほら乗れ」

新は苦笑してしゃがみ込む。

莉桜は素直に背中へ乗った。


「軽」

「…褒めてる?」

「たぶん褒めてる」

2人のやり取りに思わず笑う。


新はそのまま寝室へ歩いていく。

その後ろ姿を見ながら。

俺は少し息を吐いて気持ちを落ち着ける。


正直。

新が連れてってくれて助かった。

こんな状況でおんぶなんてしたら……

俺には耐えられない。