君の隣で、私になれた



ーーー観覧車。

ーー琉生side.


「やっぱ夜いいな」

ゆっくり観覧車が動き出す。


「思ったより高い……」

窓際へ近付く莉桜。

「見て!ベイブリッジ!」

子どもみたいに笑う。

「テンション高っ」

「だって綺麗じゃん!」

その笑顔につられて俺も笑う。


しばらくはいつも通りだった。

どうでもいい話をして。

笑って。ふざけて。

景色を見て。


でも。

観覧車が頂上へ近付くにつれて。

自然と会話が少なくなる。


窓の外を見つめる莉桜の横顔。

街の灯りが映って。

思わず。


カシャ。


「……!あ、また撮った!?」

「うん。」

「もう!なんで!?」

画面を覗き込もうとする。


「綺麗だったから」

「……え?」

一瞬、莉桜が固まる。

それから。

少し照れたように笑った。


「あ、夜景か!綺麗だよね」

思わず笑う。

「夜景も」

少しだけ間を置いて。

「……莉桜も」


沈黙。


さっきまでの空気が少しだけ変わる。

莉桜は何も言わない。

ただ。

少しだけ目を逸らした。

耳が少し赤い。


「……。」

俺も。

それ以上は何も言わなかった。


「写真撮ろ」

少し空気を戻すように言う。

「うん。」

隣へ移動する。

肩が触れる。

太ももも少しだけ当たる距離。


「近……。」

小さく呟く莉桜。

笑わない。

今日は茶化さない。


そのまま。

肩が触れた距離で。

カシャ。


画面を見る。

「いいじゃん」

「うん。」

莉桜も笑う。


でも。

少しだけさっきより照れてる。


俺は戻らずに隣に座ったまま。

少し沈黙。

観覧車だけが静かに動いている。