一口。
「熱っ!」
「ほら慌てるから」
「だって美味しそうだったもん」
笑いながら食べる。
「一口ちょーだい」
そのままチュロスを差し出す。
琉生も何も言わず食べる。
「あ、うま」
「美味しいよね!」
琉生はベビーカステラを買って食べてる。
「そっちも食べたい!」
ベビーカステラを指差す。
「はい。」
自然に口を開ける。
口の中にベビーカステラが入ってくる。
「美味しい!」
「やっぱ甘いもん好きだな」
「好き!」
そんなやり取りが。
もう当たり前になっていた。
歩いていると。
カシャ。
「……。」
振り向く。
スマホを持つ琉生。
「撮ったでしょ!?」
「バレた?」
「バレるよ!」
笑いながら近付く。
「見せて!」
スマホを覗こうとすると。
ぽん。
頭に手が乗った。
「ごめんごめん」
少し笑って小さく呟く。
「可愛かったから」
「……。」
一瞬だけ言葉が出ない。
胸の奥が少し熱くなる。
……あれ。
なんだろ。
「お?」
頭をぽんぽん。
「また照れてる、可愛いなー」
今度はいつもの琉生。
少しふざけた笑い方。
「なんかムカつく!」
思わず笑ってしまう。
「さっきの写真消して!」
「やだ」
「えーー!」
「なぁ、次あれ食いたい」
琉生が自然に私の肩へ手を置く。
指差した先にはいちご飴。
「食べたい!」
「だろうな」
「なんで?」
「好きそうだから?」
「正解!」
肩に置かれた手も。
昔から変わらない距離。
だから何も思わない。
……はずなのに。
さっきの。
『可愛かったから』
その一言だけが。
まだ胸の中に残っていた。
……今日。
なんか少しだけ。
調子狂うな。
そう思いながら隣を見る。
琉生はもう。
次のお店を見て笑っていた。
