「あれ?」
男の一人が思い出したように言う。
「でも成瀬さんって彼氏いたよな?」
「思った、医学部だった先輩」
「それ大丈夫なの?」
少しだけ間を置いて。
「別れた」
「……え?」
「は?」
また一気に空気が変わる。
「マジ!?」
「成瀬さん今フリー!?」
「嘘だろ!紹介して!」
「今度合コン連れてきて!」
「無理。」
即答で断わる。
「なんで!」
「莉桜はそういうの苦手だから」
「だから?」
「紹介は絶対しない!」
「お前ケチ!」
「独り占めかよ!」
男子は笑う。
でもまた女子は笑わない。
「……え。」
「別れたの?」
「うそ……。」
「いや、でもさー」
男が笑う。
「お前昔から怪しかったじゃん」
「大学の頃も噂なってたし」
「俺らから見ても仲良かったし」
「二人とも否定してたけど!」
「今思えばな……」
「やっぱ狙ってんだろ?」
笑いながら肩を組まれる。
「いや。ふつうに友達」
「はいはい」
「信用できませーん!」
男たちは面白がる。
その横で。
女子たちは黙ったままだった。
「でも。」
一人がぽつりと言う。
「私たち誘っても来ないのに」
「莉桜ちゃんとは遊ぶんだ……」
「しかも2人で」
その時。
スマホが震えた。
画面を見る。
ーー紅羽。
『いま莉桜と飲んでる!』
『琉生も来るー?』
考えるより先に。
『行く。』
そう送信していた。
「ごめん!」
俺はそのまま立ち上がる。
「先に抜ける!」
「え!?」
「二次会は!?」
「今日はパス!」
「なんで?」
「急用」
「誰と?」
スマホをポケットへしまう。
「……友達!」
それだけ言って店を出た。
