君の隣で、私になれた




ーーー社会人2年目の秋。

ーー琉生視点side.


久しぶりの。

経済学部の飲み会。



「琉生ー!」

「久しぶり!」


肩を叩かれる。

腕を組まれる。

男も女も距離が近い。


「髪切った?可愛いじゃん」

「ありがと!」


昔と何も変わらない。

こういう距離感も。

こういう空気も。

何も変わってない。



乾杯。


仕事の話。

大学時代の話。

笑い声が絶えない。


「そういえばさ。」

女子の一人がグラスを置いた。

「琉生。」

「最近全然遊んでくれなくない?」

「連絡も返ってこないし」

「2人で会ってくれないし」


「そうそう!」

「昔のチャラい琉生どこ行ったの?」

笑いながら責められる。


「なんか飽きた」

「そればっか!!」

「前みたいに遊びたいー」

「ごめんごめん」

笑って適当に流す。



「でもさ。」

別の女子が口を開く。

「紅羽から聞いたんだけど、」

「莉桜ちゃんとは2人で遊んだんでしょ?」


一瞬だけ場が静かになる。

「へぇ?」

男まで反応してきた。

「2人だけで?」

「車買ったからドライブ」

さらっと答える。


すると。

女子の一人が止まる。

「……え、ドライブ?」

「しかも2人で?」

「うん。」


「え、待って。私この前……」

「車乗せてって言ったら断られた!」

「私も!」

「『新車だから嫌』って言われた!」

「私なんて。」

「助手席は彼女できた時用って」


男子が笑う。

「そんなこと言ってたなー」

「冗談だろうけど」

「まずこいつ彼女作らねぇし」


でも女子は笑わない。

「……。」

「え?じゃあ……」

「莉桜ちゃんは乗せたってこと?」

「しかも一番最初?」

俺は少しだけ困ったように笑う。


「まぁ。そうなる」

「……へぇ」

それ以上。

誰も何も言わなかった。

でも空気だけが変わった。