君の隣で、私になれた



「……別れた直後は毎日LINE来てた」

「復縁したいって。電話も。」

「……。」

やっぱり、そうだったんだ。


「でも、ここ最近は連絡なくなった」

少し笑う。

「湊も前向けてたらいいなって思う」

「嫌いになったわけじゃないから」

「湊にも幸せになってほしい」


「私とは。」

「価値観が合わなかっただけ」

「だから私以外の人と……」

「ちゃんと湊と合う人と出会って、」

「幸せになってくれたらそれでいい」


莉桜らしい。

最後まで誰も悪者にしない。


少し沈黙が流れる。


そのあと。

今度は莉桜が聞いた。


「琉生は?」

「ん?」

「もしこれから好きな人ができて、」

「結婚するってなったら」

「仕事辞めてほしいって思う?」

「専業主婦になってほしいとか…」


俺は少し笑う。

「どっちでもいい」

「え?」

「仕事好きなら続けたらいいし」

「辞めたいなら辞めたらいい」

「その時は俺が養う」

「それだけ。」


「……。」

「でも。」

少しだけ笑って。

「仕事にしても、主婦にしても、」

「好きなこと頑張ってる姿って」

「かっこいいじゃん」

「俺はそっちの方が好きかも」


莉桜は。

少しだけ目を丸くして。

それから笑った。


「琉生らしい」

「そう?」

「なんか自由だよね」

「え?」

「自分も相手も……」

「自由でいいって思ってそう」


俺は納得して少し笑う。

「まぁ…そうかも」

「好きだからって」

「相手の人生まで決める権利はないし」

「その人が笑ってるなら」

「それでいい」


莉桜は小さく頷く。

「……うん」

「そういう考え方いいと思う」

「私は好き」


一瞬だけ心臓が跳ねた。


……だめだ。

その”好き”はそういう意味じゃない。


分かってる。

分かってるのに。

期待しそうになる自分がいた。