君の隣で、私になれた



「変わる必要ない」

湊も真っ直ぐに私の方を見る。

目が合う。


「それが一番いい」

「俺は莉桜を守りたいだけ」


その言葉で全部繋がった。


守りたい。

その気持ちは。

本当なんだと思う。


でも。

守ることと。

閉じ込めることは違う。


「湊。」

「最後に一つだけ。もし私が…」

「医者辞めて家にいて。」

「私が養うから。」

「そう言ったら仕事辞める?」


「……。」

「嫌でしょ?それと同じ」

「違う」

「何が?」


「俺は男だし、医者だ」

「俺には責任がある」

「一緒にするな」


静かに首を振る。


「私は?」

「私の仕事には責任ないの?」

「……。」

返事はなかった。


長い沈黙。


もう十分だった。



「湊。」

「別れよう」



静かな部屋。

時間が止まる。


「……は?」

「何言ってる」


「別れよう」

「嫌だ、別れない」

「私は別れたい」


「仕事続けていい」

「……」

「CA辞めなくていい」

「だから別れるのだけはやめろ」


湊が折れた……。


「変わる」

「次こそちゃんと変わる」

「だから別れるとか言うな」

「莉桜……」


胸が苦しい。


今でも湊が大好き。

一緒にいたい。

そう思う。


でも。

ゆっくり首を横に振った。


「ごめん」

「もう、信じられない」

「今だけそう言っても……」

「またきっと同じことになる」