君の隣で、私になれた



ーーー羽田空港。


フライトを終えて。

制服のままクルーラウンジを出る。


明日から二連休。



ふと、思い出す。

確か明日は紅羽も休みって言ってた。


少し迷って。

グループLINEじゃなくて、

紅羽との個人LINEを開く。


ーー莉桜。

『急だけど…』

『今から飲み行かない?』

送信。


数秒後。

ーー紅羽。

『え!めずらし!!』

『行くーーーー!!!!!』

『女子会しよ!!』


思わず笑ってしまう。


社会人になって。

紅羽と2人で会うのは初めてだった。




仕事終わりの紅羽と待ち合わせ。


「莉桜ー!」

変わらない笑顔。

思わず笑う。


「久しぶり!」

「久しぶりじゃない!」

「毎月会ってる!」

「2人では久しぶり!」

「たしかに。」

笑いながら歩く。


紅羽が予約してくれていた。

少し大人っぽい雰囲気の居酒屋。


席に着く。

メニューを開く。


紅羽がこっちを見る。

「莉桜、何飲む?」

私は迷わず答えた。

「レモンサワー!」


「……え?」

紅羽が固まる。

「え!?お酒!?」

「うん。」

「え!?ソフトドリンクじゃないの!?」

「今日は大丈夫」

それだけ答える。


紅羽は少し不思議そうだったけど。

「じゃあ今日は飲も!」

満面の笑み。

「やっと莉桜と飲めるー!」


グラスが鳴る。

「乾杯!」


仕事。

編集部。

同期。

後輩。

美容室。

旅行。


くだらない話で笑う。

あっという間に一時間が過ぎてた。


「……。」

グラスを見つめる。


「紅羽。」

「ん?」

少しだけ息を吸う。

「私ね…」


「プロポーズされた」


「…………え?」

紅羽が固まる。

「え、ちょっと待って…ほんと!?」

「うん」

「えぇぇぇ!!おめで──…」

紅羽の言葉が止まる。

たぶん私が笑っていなかったから。



「……返事してないの」

「え?」

静かになる。

「CA辞めてほしいって」

「専業主婦になってほしいって」

紅羽の表情が変わる。