君の隣で、私になれた



ーーー社会人1年目の冬。


仕事終わり。

クルーラウンジ。



仲の良い先輩CAから声をかけられる。

「成瀬、最近元気ないね」

「何かあった?」


「……。」

少し迷う。

友達にも何も話してない。

けれど本当は誰かに相談したい。

話してみようかな……


「実は…彼氏が、」

「仕事で男の人と関わることを嫌がってて」

「最近、笑うことまで怖くなっちゃって」

「仕事なのにちゃんと笑えなくて」


先輩は黙って聞いてた。

「CA辞めたいの?」

「違います!」

即答。

「CAは絶対に辞めたくないです」

「ずっと夢で…やっとなれたから…」

涙が出そうになるのを堪える。

唇が少し震える。


「でも……彼も大切なんです」

「だからどうしたらいいか分からなくて」


先輩は少し何かを考えてる。

「成瀬。」

「仕事を続けるか、彼氏を取るか」

「そういう話じゃないと思う」

「……え?」


「本当に好きな人を想うなら」

「夢を諦めさせる前に」

「応援する方法を一緒に考える」

「違う?」

「……。」

言葉が出ない。



ーー帰り道。


「本当に好きな人を想うなら」


その言葉だけ。

何度も頭の中で繰り返す。


でも湊は卒業式の日。

「莉桜なら絶対大丈夫」

そう言って笑ってくれた。


あれも。

きっと嘘じゃなかった。


だから私は湊を信じたい。



まだ諦めたくなかった。