ーーー社会人1年目の秋。
ーー莉桜side.
月に一度の飲み会。
この時間だけは。
大学生の頃に戻れた気がした。
店員さんが注文を聞きに来る。
「生!」
紅羽が元気よく手を挙げる。
「俺も生!」
「ハイボール」
琉生と新が続く。
「莉桜は?」
「……ジャスミン茶」
紅羽が固まる。
「え?また!?」
「最近ずっと飲んでなくない?」
私は苦笑いする。
「今日はいいかなって」
「今日も、でしょ?」
紅羽が笑う。
「もう3回連続じゃん!」
「明日休みなのになんで?」
「前は普通に飲んでたじゃん!」
「……」
言葉が詰まる。
約束だから。
男がいる飲み会ではお酒は飲まない。
そう決まった。
でも、それを言うわけにはいかない。
「ちょっと最近……」
「アルコールの気分じゃなくて…」
曖昧に笑う。
「えーー!今日は飲もうよ!」
「ね!?」
紅羽が身を乗り出す。
悪気なんてない。
ただ、一緒に楽しみたいだけ。
だからこそ苦しかった。
「私は……」
その時。
「別にいいじゃん」
琉生だった。
「飲みたい時に飲めばよくね?」
何気ない口調。
いつも通りの笑顔。
でもその言葉に。
私は思わず琉生を見る。
目が合う。
何も聞かない。
何も言わない。
でも。
きっと琉生は気付いてる。
そう思った。
